Vol.37 ついにでた税制改正大綱への税理士の見解

こんにちは。 シャラク代表の渡部です。

今日は先日出ました「税制改正大綱」について、
お世話になっているデンタルクリニック会計事務所の山下先生より、
文章を頂きましたのでシャラクのみなさんにシェアさせて頂きます。

(ここから)

こんにちは、デンタルクリニック会計事務所の山下です。
先週、ついに「税制改正大綱」が発表になりました。

これは税制の改正がどうなるのかをまとめたものであり、
この税制改正大綱で盛り込まれた税制改正について、
歯科医院に関係のありそうなものをまとめてご説明していきます。

●消費税率アップが決定
今までずっと延ばし延ばしになってきた消費税アップが 今回やっと決定になりました。
改正の時期は、2014年の4月に8%に上がり、 2015年の10月に10%に上がります。
10%になった時点で、低所得者救済対策として 現金給付が予定されていますが、
こちらはまだ 決定していません。

中途半端に8%の時期が1年半だけありますので、
商売を されている人は値札やレジを変えたりしないといけないので 本当に面倒くさいです。

これにより、歯科医院も自費治療などの高額治療については
少し受診抑制が働く可能性があります。

最近、NHKのニュースや激安インプラントの増加により 全体的に
インプラントのマーケットは縮小傾向にありましたが
この消費税率アップによりさらに影響が出る可能性があります。

●所得税の最高税率が45%に5%引き上げ
今回の税制改正では、全体的に富裕層への課税を強化しています。
しかし私は基本的には、富裕層への増税は反対派です。
なぜなら、スーパーエースが日本からいなくなってしまうからです。

イチローにしても香川真司にしても、スーパーエースは みんな海外に行ってしまいます。
(もちろん、税制面だけで海外に行くのではないでしょうが)

また、働いても税金が増えて手取りが変わらないのであれば、
働かないほうがまし、と考えるのは自然な流れであり、
これによりカリスマリーダーが育ちにくい風土ができてしまいます。

これは、配偶者控除などにも同じことが言え、
年間103万円 以上稼ぐと税金が上がるからといって、
その範囲内で働くことを 希望されるパートさんなども多いので、
衛生士さんなどにたくさん 働いてもらいたいのにこの規定で困っている医院さんも少なくありません。

日本は選挙対策として「弱者救済」を掲げます。
一人一票ですので、数からいくとこの方が選挙うけするのです。
しかし、世界で強くなっている国はどこも弱者救済ではなく
「きら星の如く輝く人や会社をさらに伸す」ことを目指しています。

日本は超過累進税率といって所得が高くなればなるほど 税率が上がりますが、
世界の傾向は「フラットタックス」といい 税率はみんな一律なのが標準になってきています。

今回はその流れに逆行して、所得税の最高税率をさらに5%引き上げる というもの。
2015年の1月から実行予定です。

これにより、個人事業主でものすごい稼いでいる人は、
所得税45%、住民税10%、事業税5%で合計60%が 税金という形になりそうです。
(保険収入については事業税が非課税です。)

ただ、課税所得が4000万円超の人が対象ですので、
おそらくこの ラインの所得の人は法人化していることが予想されるため、
この改正に より増税になる人は、医療法人で役員報酬を
4000万円以上もらって いる人ぐらいになりそうです。

●相続税の基礎控除が大幅にダウン
現在、相続税の基礎控除は、 5000万円+1000万円×法定相続人の数 ですが、
この基礎控除が大幅にダウンします。

2015年の1月からは、 3000万円+600万円×法定相続人の数 になります。
現行の基礎控除だと、かなり資産を持っている富裕層しか 相続税の対象にならなかったのですが、
今回の基礎控除 ダウンにより、今まで相続税なんて関係がなかった人でも
かなり相続税の対象になる人が増えると予想されます。

また、相続税の最高税率も現行の50%から55%にアップ しますが、
この規定の適用を受けるのは、相続財産が6億円超 の人となりますので、
所得税の最高税率同様、この改正の 影響を受ける人は非常に少ないのではないかと思います。

●株式の売却益の10%への軽減税率が終了
現在、株式の売却益などについては20%から10%に 軽減されていますが、
この軽減税率が終了し、14年1月 からは20%に戻ることになりました。

ただし、年間100万円までの株や投信への投資については
配当や譲渡益が5年間非課税になるという改正もできたので
一概に今回の改正で負担増になるとはいえないかもしれません。

今回は、改正により負担が上がりそうなもの をピックアップしてご説明していきました。

なお、税制改正大綱はこちらから全文がご覧いただけます。

http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/pdf085_1.pdf

(ここまで)