Vol.43 税制改正大綱への税理士の見解 後篇
こんにちは。 シャラク代表の渡部です。
今日は先日出ました「税制改正大綱」について、
お世話になっているデンタルクリニック会計事務所の山下先生より、
文章を頂きましたのでシャラクのみなさんにシェアさせて頂きます。
前回の後編になります。
(ここから)
税制改正で歯科医院に有利になる5つのポイント
先月、「税制改正大綱」が発表になり、税制改正の 大枠がほぼ決定しました。
前回は、歯科医院にとってマイナスになる改定を ご紹介しましたが、
今回は、歯科医院にとって プラスになりそうな改定を5つほどご紹介していきます。
●接待交際費の枠が800万円に増加。
10%の否認もなしに。 現在、中小企業の接待交際費の限度額は年間600万円です。
つまり、600万円を超えた接待交際費については税務上、 1円も損金に算入することはできません。
さらに、600万円に達するまでも、10%部分は損金に 算入することができず、
90%部分だけが損金になっていました。
今回の改正で、この600万円の限度額が800万円に増加しました。
さらに、10%部分の否認もなくなりますので、100%損金 とすることができるようになりそうです。
今まで、法人のデメリットの一つにこの接待交際費の損金不算入 がありましたが、
それが今回の改正により緩和されます。
ただし、実際問題として、歯科の医療法人で、年間の接待交際費が
600万円を超えているところは非常に少数派だと思いますので、
この限度額の増加により恩恵を受ける医院は少ないと思います。
(個人の歯科医院は今まで通り、接待交際費は全額経費です。)
●雇用促進税制の金額が1人20万円から40万円と2倍にアップ。
現在、雇用促進税制といって、純増で2人以上雇用保険の 被保険者のスタッフを雇い入れた場合、
1人につき20万円 の税額控除を受けられるという規定があります。
(雇用促進税制の詳細は、昨年11月号のメルマガをご覧ください)
現在は1人20万円ですが、これが改正後は1人40万円と 2倍になる予定です。
2人以上雇い入れることが条件ですので、最低でも 40万円×2人=80万円の税額控除が受けられます。
チェアを増やしたり拡大移転をしたりといった投資に伴い
積極的に人材にも投資されている医院さんにとっては 非常にありがたい改正ですね。
●給与の支払が一定割合以上増えた場合、増加額の10%の税額控除
青色申告者が、平成25年4月1日から平成28年3月31日まで に開始する事業年度で、
給与の年間金額が「基準雇用者給与等支給額」 よりも5%以上増加した場合、
その増加額の10%の税額控除を 受けることができます。
この場合の「基準雇用者給与等支給額」とは、平成25年4月1日以後 に開始する
各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度 (基準事業年度)の
所得の金額の計算上損金の額に算入される 国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。
なお、この規定は、上記の雇用促進税制との選択適用になりますので
どちらもダブルで受けることはできないようです。
●住宅ローン控除の延長および増額
住宅ローン控除は、今年平成25年末までで終了する 予定でしたが、
この期限が29年末まで4年間延長になります。
平成25年中に住宅を購入した場合には、借入限度額が2000万円 の1%で、
Max20万円まで控除を受けることができますが、
平成26年4月に消費税が上がることを考慮し、
26年4月以降の 購入は、借入限度額4000万円の1%でMax40万円まで 控除することが
可能になりました。(控除期間は10年間)
ただし、もちろん住宅ローン控除の金額は上がるのですが
消費税も上がりますので、建物の購入にかかる支払は増えますよ。
●教育資金の一括贈与について1人1500万円まで非課税
子どもや孫の進学や通学にかかる教育資金を、直系尊属(両親や祖父母) が贈与した場合、
1人につき1500万円まで非課税になります。
この制度を利用すると、
一括で銀行などに預けられた資金の中から 教育資金として利用する場合に限り、
その人が30歳になるまでは 何度でも引き出すことが可能となりますので、
祖父母から孫への 教育資金が無税で贈与できる形になります。
この贈与の非課税の適用を受けるためには、
支払われた金銭を 教育資金の支払に充当したことを証する書類を金融機関に提出 しなければなりません。
また、もし、30歳に達したときに1500万円を教育資金として
使い切っていなければ、その残額については贈与税の課税対象と なりますので注意が必要です。
これ以外にも細かい改正がいくつかありますが、
主なものは 今回と前回に掲載しておきました。
なお、税制改正大綱はこちらから全文がご覧いただけますので
興味のある先生は参考にしてみてくださいね。
↓ http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2013/250129taikou.pdf
(ここまで)